甘く抱いて、そしてキスして…【完】

第2節 深い溝

そして、私は仕事の合間に、あることを調べ始めてようとしてた。

それは、翔太郎の両親の死の真相。

「ふぅーお腹空いたぁー」
仕事を終えて、私はハッシュドビーフを作り出した。
実は私の得意料理のひとつ、私だけの隠し味があるんだ。だから、みんな美味しいと褒めてくれる。

「お疲れ」
翔太郎が匂いに誘われてか、いつもより早く2階へ上がってきた。

「いい匂いだなー」

「お疲れ様、うん、今夜は美園特製ハッシュドビーフだよ」
私は得意気に言った。

「やったぁ!」
無邪気に喜ぶ翔太郎、じっと私をくいるように見つめてくる。

うふっー

「出来たよ」
私はこぼれないようにゆっくりとテーブルへ運んだ。

「翔太郎、早く」

「はいはい、いただきます」
私達は両手を合わせて、必ず毎日ご飯を食べていた。

「どう?」

「う、美味い!美味いよ」
翔太郎は私を奮い立たせる、そんな笑顔で答えてくれた。

「あのね、翔太郎、ちょっと話があるんだ……」

「ん?」不思議そうに私を見つめる翔太郎。


「私、翔太郎の両親の死の真相について、調べて見ようかと思うんだけど…」


翔太郎が突然無言でスプーンを置いた。


「いや、いいから」


「え?どうして?」
私は気分を害しちゃったの?


< 35 / 175 >

この作品をシェア

pagetop