癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「遙季ちゃん、おはよう」

「鈴村先生、おはようございます!」

鈴村雅祥は、優しい眼差しで、ふわふわっとしたくせ毛が可愛い165cmの遙季と大差のない身長の小柄な男性。

38歳とは思えない童顔のショタ(少年)系イケメン。

鈴村医療センターの副院長の次男で、精神科の部長でもある。

遙季は、笑顔で雅祥に駆け寄った。

「遙季ちゃん、今日も元気だね。よしよし。いい子、いい子」

10年の付き合いになる遙季に対して、雅祥はいつも子供扱いをする。

遙季も大好きな雅祥に甘えさせてもらって嬉しい限りだ。

しかし、童顔の雅祥と知的な美人の遙季がじゃれ合う姿は端から見るとかなりシュールだ。

周囲のスタッフにも、高校生の遙季を知る者が多いため、朝のこの光景は見慣れた風景と化していた。

ただ1人を除いて,,,。

「おはようございます。鈴村先生、雪村さん」

遙季の頭を撫でる雅祥の手を、笑顔で払いのける光琉。

光琉がやって来てから5日目。これも、毎日繰り返されるやりとりとなってきている。

「いい加減にやめませんか?このやりとり」

遙季が溜め息をつく。

「やだよ。八代先生をからかいたいからやめなーい」

30代というのにショタ系イケメンの雅祥が声優みたいに言うと可愛さが倍増だ。

笑顔になる遙季の頭に、光琉が手を乗せ、耳元に唇を寄せて、遙季にだけ聞こえるように

「喜んでんじゃねえよ。馬鹿」

と囁いた。

真っ赤になって顔を上げる遙季にニッコリと笑顔を向ける。

「さあ、カンファレンス、始めましょう」

゛このインテリ眼鏡!゛

遙季は、心の中で毒づきながら二人のあとを追った。

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