家庭訪問は恋の始まり
1月の中旬、私は放課後の教室で、嘉人さんのノートを見つけた。

ランドセルに持ち物をしまった後で、宿題だった計算ドリルのノートを配ったから、ロッカーの上に置き忘れたようだ。

嘉人くんは、その時やりたい事を優先してしまうから、おそらく、ノートをしまいには行ったけど、何か他の事に気を取られた瞬間にロッカーの上にノートを置いた事すら忘れてしまったんだろう。

学校に物を忘れるのは嘉人くんに限った事じゃない。

特に宿題に使う物だと、家で困ってると思うので、私は電話をするようにしている。

もちろん、先生によっては、「忘れる方が悪い」と翌日まで放置の先生もいらっしゃるけど。

だから私は、学校の電話から、瀬崎さんの携帯に電話をする。


プルル…

『はい。』

「瀬崎さんの携帯でしょうか?
私、嘉人さんの担任の神山と申します。」

あくまで、担任として連絡を入れる。
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