家庭訪問は恋の始まり
「夕凪先生、今日は、楽しかったよ。
最後にいい思い出ができた。」

最後って…

私が何も言えないでいると、武先生は明るく笑った。

「ははっ
やだな。気にしないで。
俺がやれる事はやったよ。
それでも、夕凪先生の気持ちが俺に向かない
のは、誰のせいでもない、仕方のない事
でしょ?
夕凪先生が今日1日で気持ちが変わったの
なら、喜んで受け入れるけど、違うでしょ?
だったら、男らしく潔く諦めるよ。」

武先生は私の頭をくしゃりと撫でた。

「送るよ。乗って。」

武先生はそう言うけれど…

「ううん。散歩して帰るから大丈夫。」

私は断った。

なんとなく、振った相手に甘えちゃいけない気がしたから。

私は、武先生の車を見送って、のんびりと歩いて帰った。

もったいないことしたなぁ…なんて、ちょっと思いながら。

< 385 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop