家庭訪問は恋の始まり
『はい、どうぞ。』

インターホンに出たのは、お父さんだった。

玄関の鍵が開き、ドアが開くと、そこにはにこにこ笑う嘉人くん。

「嘉人さん、こんばんは。
お父さんは?」

「今、ご飯作ってるから、上がってください。」

とお父さんからの伝言を伝えてくれる。

言われてみれば、玄関まで漂ういい匂い。

「そうなの?
じゃあ、先生、ご飯が終わった頃に
また来るよ。」

嘉人くんにそう言うと、奥からお父さんが顔を出した。

帰ったばかりなのか、ワイシャツの袖を腕まくりして、黒いエプロンを着けてる。

なんか、かっこいい…

「すみません。
嘉人が何かやらかしたみたいで。
どうぞ、上がって一緒に召し上がってって
ください。」

そんな訳にはいかない。

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