エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
「ううん。とにかく、環が別人じゃなくて良かった。環となら一緒に仕事出来そう」

 話せば話すほどあの頃の気持ちがこみ上げてくる。もっともっと環と話したい――そう思った時、ちょうど城崎部長がオフィスから出てくるのが見えた。部長は辺りを見回し、私たちの姿を捉えると、手を挙げて、

「そろそろ始めるよ」
 と声を上げた。

「行かないとね」
「ああ」

 本当はもっと環と話したかったけど、仕方ない。私と環は頭を下げ、部長の方へと歩き出した。肩を並べて歩くと、本当に現実なのか分からなくて、不思議な気分になる。

「……これから、よろしく頼む」
 環は前を向いたまま、ぽつりと呟いた。
「こちらこそ、よろしく」
 環と一緒なら、単調な事務の仕事が少し楽しくなりそうだな、と思って、私は宙に向かって微笑んだ。

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