「桐生さんは、どっちがいいんですか?」

「どちらでもいいですけど、今日じゃ
なくてもいいので、もう一度ジャズバーには
行きたいとは思ってます。」

「じゃあ、ジャズバーで。
この間見たら、食べ応えのありそうな
食事メニューもありましたから。」

私たちは、再びジャズバーを訪れた。

今日は、カウンター席。

食べ物と飲み物をオーダーし、音楽を楽しむ。

「栗原さんは、ジャズも演奏するんですか?
それともクラッシックオンリーですか?」

身を寄せて声を潜めて、桐生さんが話しかけてくる。

こんな距離感で男の人と話す事なんてないから、ちょっとドキッとする。

「譜面通りになら弾けますけど、ジャズって、
基本的に即興演奏が多いですよね。
私、即興演奏、苦手なんですよ。」

「じゃあ、今度、本当に遊びに行っても
いいですか?
譜面通りでいいので、一緒にセッション
しましょうよ。」

桐生さんは半身になり頬杖をついて、私の顔を覗き込む。
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