そしたら、海翔くんが、仁くんに紹介してくれた。

「仁、この子、んー、なんて説明したら
いいんだ?
ま、俺の娘の栗原絆。
中学生部門に出てたんだ。
よろしくな。」

私は、ペコリと頭を下げた。

すると、仁くんが言った。

「絆ちゃん?
覚えてるよ。
リスト弾いた子でしょ?
なんで賞とれなかったんだろ。
俺の中では、絶対金賞だったのに。
今年の審査員、変なんじゃない?」

いやいや、あなたが金賞の時点で、絶対、審査員は間違ってないから。

私は、恥ずかしくなって、海翔くんの背中に隠れた…のに、引きずり出されて、仁くんを紹介された。

「絆、こちら、春山仁(はるやま じん)くん。
俺たちの同僚の息子なんだ。
仁は、お母さんがピアニストで、お腹の中に
いる時からピアノを聴いて育ってるから、
今日も上手かっただろ?」

「うん。」


そこで紹介されたのが、春山部長とその奥さん。

だけど、正直、春山部長の事は、全然覚えてない。

だって、奥さんが綺麗すぎたから。

あとで結ちゃんに聞いたら、仁くんのお母さんは、ハーフらしい。

保育園・児童館・介護施設などで演奏活動をしてるんだそうだ。
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