すると、その女性が、俺の方を振り返り、口を開いた。

「すみません。
専務室はどちらですか?」

専務室!?

取引先の重役や営業なんかが訪れる事はあるが、こんな小娘みたいな子が専務に何の用だ?

「失礼ですが、どちら様ですか?」

俺が尋ねると、

「栗原絆と申します。
専務と約束をしてまして…」

と答えた。

アポがあるのか。

俺は用件は気になったが、アポがあるなら…と、下の階に行くのを後回しにして、専務室に案内する事にした。

「すみません。
何か用事があったんじゃ…」

女性が申し訳なさそうに言う。

「いえ、急ぎではありませんから、お気になさらず。」

俺は専務室をノックする。

「はい。」

専務の声だ。

俺はドアを開けた。

「失礼します。
今、栗原絆さんとおっしゃる方が専務を訪ねて
いらっしゃってます。
お通ししてもよろしいでしょうか?」

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