残念な王子とお節介な姫
「くくっ
それ、尾ひれ付いてるし。
正しくは、安達班のアイドル。
まあ、かわいいのは間違いないけど。」

「きゃー!!
課長、仕事中に、何、のろけてるんですか。
聞いてる方が恥ずかしいやないですか。」

「姫が聞いたんだろ!?」

「うちも言われてみたいです。」

「姫が知らないだけで、彼氏は言ってるかも
しれないぞ?」

「んー、ないですね。」

「なんで?」

「多分、浮気してます。」

「え?
問い詰めたのか?」

「問い詰めたら、終わるやないですか。
まだ、終わる気ないんで、気付いてへんふり、
してます。」

「そんなの、意味ないだろ。
自分に気持ちが向いてない奴と無理に
続けたって、その先に幸せなんてないよ。
はっきり決着つけて、先に進んだ方が
いいんじゃないか?」

「そんなん、分かってますよ。
分かってても、どうしようもない気持ちって
あるでしょ?」

「まあ、分からないでもないけど。
でも、なんかあったら、言えよ?
話ぐらいは聞いてやるから。」

「はい。
そん時は、お願いします。」
< 36 / 262 >

この作品をシェア

pagetop