残念な王子とお節介な姫
始業時刻が近付くと、続々と社員が出勤してくる。

俺は、部長の姿を見つけて、席に向かった。

「部長!」

「ああ、宮本くん。おはよう。」

「おはようございます。
あの、大変申し上げにくいのですが…」

「ん? なんだね?」

「今月末に予定していた結婚式ですが、破談と
なりました。」

「は?
あ、いや、それはまた、どうして…」

部長が聞いていいのか、迷うように視線を彷徨わせる。

「彼女は全然わがままを言わないのに、
俺ばかりがわがままを言い続けた結果です。
スピーチをお願いしていたのにこんな事に
なって申し訳ありません。」

俺は、頭を下げた。

「いや、宮本くん、頭を上げなさい。
こればっかりは、縁のものだから、誰がどうと
言う事はないよ。
まあ、気を落とさずに、仕事に励みなさい。」

「はい、ありがとうございます。
本当に申し訳ありませんでした。」
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