愛のない部屋

嵐の予感


残業続きで疲れているであろう峰岸の好きなものを作ってあげよう。



寒いし暖かいものが良いよなぁ。

あ、ワンタンスープとか良いかも。
いや、ロールキャベツ?



スーパーであれこれ悩みながら食材を買い、重い荷物を持つ。

世間的には同棲している男女と映るかもしれないけれど。私は居候している気分なんだよね。


あの部屋にまだ沈黙と気まずい空気しか流れていなかった頃と、大きく変わった関係。


恋人という絆が切れてしまう日は無いだろうと信じられる程、幸せな日々。




そんな日々の中に、トラブルは発生した。






行き慣れたスーパーの帰り道、

踏み切りの向こう側に見えた人影に見覚えがあった。



知り合いというレベルなら。



踏切が上がった後に、軽く会釈して通り過ぎればいい。


向こうが気付いてないのなら、私も気付かないフリをして前に進めばいい。



だけど、



相手も私に気付いてしまったようで、



目が合った。




それはほんの少しの時間だろうけど

私の中で、時は確かに止まった。


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