ドSで腹黒な先輩に恋しちゃった
待ち合わせ場所からすぐ近くにあるスタジオ。



予約までちゃっかり入れていたらしく、すぐに小部屋に案内された。



『私、楽譜持ってきてないですよ。』



暗譜だって全然できてない。
ここで弾けるものは持ってきてない。



「うん。別に練習するために来たわけじゃないよ。」



『は?じゃあなんで・・・』



練習しないのにスタジオ。
個々のスタジオ、数時間借りるだけでも結構な額になるのに。



「遼ちゃんと話したかったから。
静かなところで。」



学校のレッスン室でもいいんじゃないのかな。っていう言葉はとどめた。
だって、先輩が真剣な顔をしてるから。



「ピアノが嫌いな理由が知りたい。」



ピアノのふたを開けて鍵を撫でながらそう言った先輩に私は、ぎゅっと手を握った。



『それ知ってどうするんですか?桜先輩。』



いつものおちゃらけた私じゃない。
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