お姫様の幸福
「え、大和?」

大和があたしの手を引っ張って体育館から出た。

「ねぇ大和!先生の用事終わったじゃん。どうしたのさ!」

「別に何でもねぇよ」

意味がわからない。
それからあたし達は黙々と教室に歩いていった。

「おかえりー。どしたの2人とも」

飛鳥が心配してきたのに何も答えず、帰る準備をする。
多分あたしは不機嫌そうな顔をしていると思う。大和の行動がわからない。別にあたしと嘉雅先輩が付き合おうが関係ないのに。
…でも心のどこかで安心した自分がいた。まだ嘉雅先輩のこと好きかわからないから、あのままあそこにいても気まずいだけだった。

「ねぇ、大和。なんで止めたの?」

「俺が知りたい。」

「なによそれぇ!」

「知らん!体が勝手に動いたんだ!」

「無責任ねぇ!」

怒鳴りながらあたしの顔はほころんでいく。

「なに笑ってんだよ…。気持ち悪いな」

「べぇつにぃ」

いつも通りのやり取りが楽しく思えただけ。それだけで自然と笑い出した。

「本当にどうしたのさ2人とも。なんかあったの?」

飛鳥が不思議そうな顔をした。

「「別に」」

あたし達は声を揃えて言いまた笑う。

ただ楽しいから。ただそれだけ。








その時は
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