夜の世界に舞う
店内はいつのまにか沢山の人で席が埋まっていた。
携帯を見ると入店からほぼ1時間近く経っていた。
ほぼずっと、華と幸太郎くんの3人で話ししていただけで特にイベントらしいこともない。しいてゆえば時々そこらへんでシャンパンコールが鳴るくらい。
「華とエルちゃん今日はラストまででいいんだよね?」
聞いて来る幸太郎君の横で腕を絡めてほろ酔いの華が「エル〜いい?」って聞いてきた。
断る理由もないし、華の券に便乗してる以上断れるわけもない。
「いいよ、楽しもう!ねえ、幸太郎君は誕生日何してもらいたい?ほら、私急に便乗しちゃったから何にも用意とかしてなくて。」
幸太郎君は考えるそぶりを見せてから
「んー、俺は記憶に残るものがいい。物が残るよりは記憶に残る1日が欲しいかな。何年後かに思い出して幸せだったなーって思えるようなね。」
「わかる。」
わかる。
16歳の誕生日、私はとっても幸せだった。思い返してもあの時の感情は今でも思い出せる。
それくらい残る1日をくれたのは紛れもなく桜ちゃん。