恋空rain’s
第6章「好きだから、言えないこと。」


そして、約束通り一緒に下校する毎日が続いていた。
進展なんてなかったけど、一緒に帰れる。
それだけで胸がいっぱいだった。


「えー!それってもう・・・」
「もう?」

「付き合っちゃいなよ」
「ふぇっ?!」

あまりに恥ずかしいことを花が言うので、
あまりにマヌケな声が出てしまった。

「だってもう、好き同士なんでしょ?」
「そう・・・かも?」
「かもって何よ、自信持ちなさい」
「は、はいぃ・・・」
そんなこと言われてもぉ。




付き合う、か・・・。



私は誰かと付き合うなんて、ほど遠いと思っていたけど・・・


でも、そしたら?


雨の日以外でも、会うことになるの?


でも、太陽くんは・・・・


「雨の日が、特別だって」
「・・・・・」
「だからもう少し、このままでいいよねって」
「太陽くんが?」
「うん、」
「・・・・・・」
「それって、このまま、会うのは雨の日と帰る時だけでいいってことだよね?」
「雨は どう思ってるの?」

「え?」
「このままでいいって思ってる?」

私は・・・・・・
「私は・・・私にとっても、雨の日は特別だよ。太陽くんと出会うまで、雨が降る日は気分が落ちてたし、この名前も嫌いだった。」
「うんうん」
「だけど、雨が1番好きだって言われて、私じゃない雨なんだけど、自分のことみたいにうれしくて。私の事も、好きだって言ってくれて・・・」

太陽くんが好きって言ってくれたから、
じめじめした雨の日も、私の名前も、
好きになれたの。

だから本当は・・・

「だから、どうしたいの?」
花は優しく、諭すように私に聞いた。


「付き合いたい・・・」
言ってしまった。花はにこにこ笑っていた。

「本当は、雨の日以外も会いたい。」
「うん、そうだよね」
「雨の日も、晴れの日も!」
「お!よく言った!」

でも・・・
「でも・・・太陽くんは」
「雨?相手のことも大事だけど、自分の心に嘘ついちゃダメだよ。」
花が言った。

「無理とかしたら、俺許さないからね」
太陽くんが言ってた。


「そうだよね」

「良い報告、まってます」

「私、言ってみるよ!」







それから、ドキドキする時間が過ぎ・・・。

───放課後────

「帰ろっか、雨ちゃん」

今日は、いつもと同じ帰り道にしない。
ちゃんと、言うんだ、自分の気持ち。

「今日さ、3時限目でさ、サトルが早弁してて怒られてた(笑)」

「あはは・・・」
ーだめだ。なかなか言えない。

でも、言わなきゃ。

「それでさ、サトル泣いちゃってさ・・・」
「太陽くんっ」

「ん?どうした?」
「あのね、聞いて?」
「何?」


「好きだからっ、つ、つ・・・・・・」
深呼吸ー、深呼吸ー。


「付き合ってください!」


太陽くんは、一瞬驚いた顔をして、一瞬照れた顔をして、そして、困った顔をした。

・・・なんで、そんな顔するの?

「なんで?」
言ったのは太陽くんだった。

YesでもNoでもない返答に、私は驚きを隠せずに慌てて言った。

「なんでって、・・・雨の日じゃなくても会いたいから、晴れの日も会いたいから・・・。」

「・・・・・・」

太陽くんの顔は、もっと困ってしまった。

「ごめん、付き合えない。」

え?


私今、フラれたってこと?でも前好きって・・・

「もう、私のこと好きじゃなくなった?」
「違う・・・!それは違うよ。」

「じゃあなんで」
「好きだけど、付き合えない。」


そんな・・・意味わかんない・・・
こんなに勇気、出したんだよ?


「わかんないよ!」


ータッタッタッタッ・・・

私は思わず走った。
走ったあげく、そのまま家に帰ってしまっていた。
私はただいまも言わず自分の部屋へ行き、
ベッドに座った。

「うっ・・・」
ーぽたっ。

太ももに、涙がこぼれ落ちた。
私は携帯電話を手に取り、花に電話をかけた。
泣きながら全て話すと、花は、
「あたしもわかんない」
と言った。
それからずっと、私の話を花は黙って聞いてくれた。
この日私は、キャラにもなく枕を涙で濡らした。




太陽くんはあの時、なんで困った顔をしたんだろう。
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