君と二人の201号室


…いい匂いだなぁ…。拓海さんの匂いって。

安心する。


このまま目を閉じたら、すごくよく眠れそう…。







「…ほ、菜帆…。なーほ!」

「はい…」

「おーきーてー。おせち、できたって。食べよ」

「え…?」



少しずつ覚醒していき、私は現状を把握した。

…なにやってんだろう、私。



「ご、ごめんなさい…。お手伝いとか、できなくて…」

「ふっふっふー。菜帆ちゃん、寝顔可愛かったね~」



瞳さんのいたずらな笑顔。

…恥ずかしいけど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。



「…大丈夫だよ。誰もそんなことは気にしてないから。そんなことより、拓海の腕の中は寝ちゃうくらい安心できる…っていうのが知れて、よかったよ。拓海のこと、それなりに信頼してるんだね」

「…それなりに、どころじゃないです…」



拓海さんのお父さんが少しだけ茶化すように言ってくれたけど、私にとってはかなり真面目な話なので、ちょっと訂正しておいた。

「それなりに」なんてもんじゃない。

私の安心要素の約90パーセントくらいは、拓海さんが占めていると思う。

…それくらい、大切。


最近、拓海さんにどんどん依存していってる気がする。

…それが、いいことなのか悪いことなのかわからないけど。

だけど、私の中が拓海さんでいっぱいになるのは、何だか嬉しいのは事実。


…もし、拓海さんにまで見放されてしまったら

――今度こそ、私は…消えてしまうかもしれない。


『心』って、厄介だ。




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