君と二人の201号室





さて、あれから数日経ち、今日はバレンタイン当日。

…由奈ちゃんの決戦の日だ。


放課後、由奈ちゃんがバイトに行ったとき、彼にチョコレートを渡すらしい。

由奈ちゃん、頑張って…!と、心の中で念を送る。



「渡せたら連絡するね。絶対渡す!」



由奈ちゃんがそう言っていたので、紘子ちゃんと一緒に、ドキドキしながらスマホの液晶画面を見つめる。

きっと私たちは由奈ちゃんと同じくらい緊張してる…なんて少し思うけど、絶対由奈ちゃんの方が緊張してる。



「由奈、大丈夫かな…?」

「渡せてるといいけどね…」



由奈ちゃん、今日一日、ずっと上の空だった。

…そのぐらい、頭の中がいっぱいなんだろう。


とりあえず本人も言ってたから渡せるといいけど、どうせなら上手くいってほしいなんて思うのは勝手なんだろうか。

でも、友達の幸せは、やっぱり私も願ってる。

由奈ちゃんの笑顔が見たい。

あの写真の中の人の隣で笑ってる由奈ちゃんの姿が見たい。


…なんて、同じようなことがグルグルグルグル、私の頭の中を占拠してる。



「…ね、菜帆はやっぱり、彼氏さんにチョコ渡すとき、緊張した?」

「…うん、まぁ。なんか…その…。私は普段から、お菓子とか料理とか食べてもらってるけど…バレンタインチョコ…って、なんか特別な気がする。もう一回告白したみたい…って、そのぐらいの勇気を使い果たしたな、私は」

「そーゆーもんなんだ…」



試作したときも食べてもらったけど、今日も朝ちゃんと渡してきた。

…すごく喜んでくれて嬉しかったけどものすごく緊張したし、また拓海さんが暴走したからなだめるのが大変だった。


紘子ちゃんは私の答えを聞いて、ちょっとびっくりしたようにしてた。



――ピロン



「「!!!」」



音が鳴ったスマホに表示されていたのは、可愛らしいウサギが二匹いて…ハートマークを持っているスタンプだった。




< 122 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop