君と二人の201号室


朝、拓海さんを起こし、

それから、拓海さんに見つめられる。



「…(今日も可愛い♡天使…。尊い本当に、[エンドレス])」

「…(本当は寝起きの拓海さんも可愛いから見たいけど…見られてる…私が)」



無言でお互いに動かず数分間。

…いつものこと。


何気に、この時間も好きだったりする。

…時間の無駄遣いをしてる、と言われたらそれまでなんだけど。



「あ、の、拓海さん…ご、ご飯出来ているので、食べませんか?」

「…菜帆食べたい」

「ダメです!」

「冗談だって」



笑いながらそう言う拓海さんが、何だかちょっぴり恨めしくて、そっぽを向く。



「菜ー帆」



なんですかー?

なんて思ってても、絶対振り向かないんだから。



「菜帆、こっち向いてくれないと、俺さみしい」

「…ちょっとだけですよ?」



そう言って私が振り向くと同時に、私の頭は拓海さんによって押さえられた。


…と、思ったら。



――チュ



「なっ、」



わざとらしいリップ音をたてて…キスされた。

ニヤリと笑う拓海さんは確信犯だ、絶対。



「あ、朝から何するんですか、拓海さん!」

「…キスだけど?わからないなら、もう一回してあげよっか?」

「結構です」



そんなことを聞いてるんじゃないです。


私は真っ赤になっているであろう顔で、拓海さんを精一杯睨みつける。



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