王子様は甘いのがお好き
「そうですね、ここにいるのは私だけですね」

私が返事をしたら、
「じゃあ、君のそばに寄ってもいいかな?」

社長が聞いてきた。

「えっ…?」

「ダメかな?」

首を傾げて聞いてきた社長に、
「い、いいですけど…」

私は戸惑いながら返事をした。

社長は私に歩み寄ると、後ろへと回った。

いつかのエレベーターの時みたいに、私の髪をさわるのだろうか?

そう思っていたら、後ろから社長の腕が伸びてきた。

「えっ、あの…」

私が戸惑っていることに気づいていないのか、社長は後ろから私を抱きしめてきた。

社長はそのまま私の髪に顔を埋めると、
「落ち着く…」
と、呟いたのだった。

「お、落ち着くって…」

そんなことを言われた私は、どうすればいいのだろうか?
< 57 / 120 >

この作品をシェア

pagetop