王子様は甘いのがお好き
「――ッ…」

社長の唇が離れた。

色っぽいその瞳と目があって、私の心臓がドキッ…と鳴った。

「――後1回だけ、キスしてもいい?

これが済んだら、すぐに秘書課へ戻らせるから」

そう言った社長に、
「――いいですよ…」

私は呟くように返事をした。

その返事を待っていたと言うように、また社長が唇を重ねてきた。

自分で言うのもおかしいけれど、私は彼に愛されているんだな。

そんなことを思いながら、私は社長の唇を感じた。

「ただ今、戻りましたー」

秘書課へ戻ると、
「お帰りなさい…と言うよりも、お疲れ様かしらね」

久保田さんが迎えてくれた。

「最近、社長との時間が長くなっているような気がするけど大丈夫?」

そう聞いてきた久保田さんに、ギクリと躰が震えた。
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