闇のあたしを光が照らして。

◆蝶が好く花の蜜

「ただいま…ぁ」

家の前に下ろしてもらうと、最新の注意を払って中へ。

「姫凛っ!今日はありがとぉー!」

ワンピースの部屋着をきた雛が、あたしに抱きついてくる。

「……雛、苦しいっ!からっ!」

やっとのことで引き剥がすと、あたしは今日1番気になったことを尋ねる。

「ねえ、雛ってあの人たちと昨日今日の付き合いじゃないよね?」

「……ギクリ」

「やっぱりー!隠さなくても良かったのに」

雛がつるんでいるのが、暴走族だとしてもあたしはきっとなにも言わない。

「……だって、言いにくくて……」

まるでイタズラがバレた時のような顔をする彼女が愛おしくて、抱きしめる。

「あたしさ、今日みたいに楽しいの、初めてだよ」

授業中、眠る玻取に紫土と櫂茉と陽楓とあたしで消しゴムを投げた。

なんかスタ爆してくる誰かさんもいたし。

なにより、人間味のなかったあたしが人間になったみたいだった、

「あたしあの人のところ、やめよかな」

あたしがやめたいといったところで止めれる訳では無い。

だけど、今日が楽しかったから。

雛みたいに、普通に過ごしてみたいと、思ってしまった。

「雛の学校に転校、しようかな」

「ほんとに?!」

雛の顔は輝いて、あたしをみる。

「もっと、雛のそばにいたいし。」

抱きしめた妹の、顔は泣いているようだった。

「……嬉しい」

それからあたしは、あの人と話をつけることにした、

そして、雛と同じように生活をしたいと、思った。


「だけど、いいの?別塔だけど、姫凛のこと忘れた聖(ひじり)くんがいるよ」

やっぱり、まだあたしのことは忘れたままなんだろう。

「別塔なら、大丈夫だよ。”神咲 掬(すくい)”はまだいるの?」

「うん。だって、誰も言わないからね。忘れたのは、姫凛だって。」

……思い出してほしいと願うけど、もうあの人がいらないと思うあたしもいる。、

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