恋愛の仕方おしえます。
猛スピードで
頭をフル回転させて
昨日の事を思い出してみる。
確か昨日は、午前中からドタバタで、藍川がぼんやりしてて、帰る時間になってもボケッとしてたからムリやり帰らせて…
そのあと、
……………………そうだった。
藍川の知り合いらしき企画部の女と。
「へぇ…。
つまり、覗いてたんだ?
いい趣味してる。」
「ち、違います!!私は…忘れ物を取りに…!」
「忘れ物って?」
「…それは………っ」
「まぁ、いいさ。とにかく勘違いすんなよ。」
「…はい?」
「あいつとは別に付き合ってない。」
「え………そうなんですか?」
「つーか、眼中にもない。
今の今まで忘れてた。」
「え?じゃあ、なんでキスしたんですか?」
「だってあの人、俺のことが好きって言うから。」
「はぁ!?社長は自分が好きでもない女の人にもそういう事ができちゃうんですか?」
「まぁ、うん。キスくらいなら。海外じゃ挨拶だし。もう大人だし。」
「…ここ、日本なんですけど。」
「キスしたからって、絶対に付き合わなきゃいないってわけでもないだろ。」
「何言ってるんですか?それじゃあ…矢澤さんの気持ちはどうなるんですか?」
「んなもん、どうでもいい。」
「女の子の気持ち踏みにじって楽しいですか?
向こうは本気であなたに告白してるんですよ!?」
「俺にも女が本気かどうかくらい分かる。
でもあいつは本気じゃなかったよ。」
「そんなの…、告白してる本人にしか分かりませんよ!」
「分かるよ。あいつは俺を見た目と地位と収入でしか見ていない。ろくに関わったこともない奴が言い寄ってくるなんて、薄気味悪いんだよ。」
「それなら、キスなんてしなきゃ良かったじゃないですか!」
「なんだ…。
朝からお前が不機嫌な理由がようやく分かったよ。」
「へ…っ?」
「嫉妬してんだろ。お前。」
「は…っ!!?」
「伊織もしてみる?
俺と、キス。」
パシャン---。
藍川に赤ワインをぶっ掛けられて、
俺の頭はようやく静止した。
「…やっぱり…、社長は最低です。」
そのまま怒って立ち去る藍川を
引き止めることすらできない……。
うわ、
…ダセェ。