麻布十番の妖遊戯
 ここから話が面白くなるのにその後のことは知らねえと白を切られたたまこは、前のめりに侍に近づき、話の先を聞きたいと訴える。

 しかし、侍は「へへ」っと笑って誤魔化すだけでたまこの聞きたいことには答える気はない。

「でもさ、けっこうなお金をくすねたんだからお家の人が探さなかったらお巡りさんとかが探すでしょう? 侍さんの後を追って来たりしたでしょう? あ、わかった。結局見つかっちゃってたりして。で、しこたま怒られて大泣きしたとか。でしょう?」

 たまこが今の己にでき得る最大限のカマをかけてみる。
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