失翼の天使―wing lost the angel―
12†プロポーズ



「でだな、優海が鷺沼に飛び込んで……」



「――もう、止めぇっ!!」



数日後の夜勤日。

久しぶりに下ネタ好きメンバーが揃い、自らのネタではなく、私と賴真の話を始めた兄。

このまま放置しては話を盛られたり、あらぬ事を言われるかと思い、カットイン。



「さっさと帰りなさいよ、研修医!」



「酷っ!優海先生、可愛い弟みたいな俺になんて事を言うんですか!」



「副島君を弟にしたつもりはない!」



「先生はどちらかと言えば、俺派ですよね」



「友田君、何故それを……;;」



「「「『えっ!!?』」」」



「浮気か優海!!」



「違うし、賴真も帰りなよ!;;」



「帰らない。友田君派って何だ!優海は俺オンリーだろう!?」



「……や、第一印象、友田君だけど;;」



「な、何だと……、」



「悄気過ぎじゃない?;;」



止まらない話。

最近、馴れ馴れしさの増した副島君のせいで、トーク内容は逸れ始めたばかりか、賴真は項垂れてしまった。

さり気なく隣に座る姉にもたれ掛かる賴真を引き戻しながら呆れ、「厄介だね、君の弟……」と松枝君を見ながら告げると、わざとらしいほど顔をプイッと背けて知らん振り。

…誰か助けてよ!;;
< 177 / 219 >

この作品をシェア

pagetop