失翼の天使―wing lost the angel―
「遥真さん、大丈夫ですか?」



『俺はねー……何とか。天真も今、点滴して貰って寝かせたし。しばらくは実家に居るよ』



「明日、賴真も帰します。お母さんも支えてあげたいですし」



『ありがとう。ごめんな……まだ下が小さいから、麻子も気持ちはあっても難しくてさ』



「気にしないで下さい。私がただ鷺沼家が好きなだけなので」



5分ほど話し、「おやすみなさい」と最後に電話を切る。

ベッドに戻り、賴真にくっつき、指を絡め目を瞑る。

眠れなくても、身体は休まる。

早めにベッドを出て、頭を洗い、身体は清拭に留めた。

お握りとお味噌汁を用意し、許されるところまで賴真を寝かせた。

起きた頃には少し心は落ち着いたのか、食欲は戻ったようだ。



「ちょっと!目、開いてる?」



「ん……」



どんな状況でも寝起きはあまりよろしくないけど。



「痛いんだよねー……」



「――あ。俺、運転する」



「や、大丈夫。かえって怖い;;」



いつもの癖で運転席に回ってしまい、シートベルトをどうするか嵌めれずに居るとようやく目は覚めたらしい。

しかし、目覚めてすぐの運転も不安。

ハンカチを傷の部分に宛がい、締め付けを緩和させれば大丈夫だろう。

今日こそは、ちゃんと働こう。





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