お見合い相手はエリート同期
背中に手を回されて、支えられるとそっと唇を触れ合わせる。
「澤口……。」
「子作りはどうするつもりだよ。」
「子作りって………。」
「そりゃそうだろ。
夫婦になるんだから。」
「それは……。」
口ごもる私へ澤口ははっきりと言葉に表していく。
「そっちも愛のない、義務的なってことか?」
怒ったような声で言われ、答えに困ってしまう。
「澤………。」
何か言おうとした唇を塞がれて告げられた。
「思い知らせてやるよ。
そんなの無理だってこと。」
何が無理なの?
その疑問は澤口に絡め取られて声にならなかった。
優しく、けれど情熱的に唇を重ねていく。
唇を重ねながら体へ触れる指先が熱くて抗えない。
優しく触れる唇が全身にもキスを落とす。
甘く溶かされてもう何も考えられなくなって自分からも求めるように澤口へしがみついた。
「朱音……。」
私を呼ぶ、切なくなるような声が胸を締め付けて離さない。
甘い吐息混じりの息遣いが次第に濡れて澤口の名前を呼ぶ。
「澤口…、、。」
「恭一って呼べよ。」
意地悪な視線を向けられて、呼ぼうとしてもその唇を塞がれる。
唇の隙間から漏れる「朱音……」という呼びかけに応えるように「恭、一……」と呼ぶと「フッ」といつもの笑い声が聞こえて甘く噛みつかれた。
翻弄される澤口の腕の中で重なり合って混ざり合って何度も何度も求め合った。