お見合い相手はエリート同期

「状況が飲み込めないよ。
 だって澤口は、あの女の子とって思って。
 だから私は………。」

 スーツの内ポケットに手を入れた澤口が携帯を操作して「それってこの女?」と私へ見せてきた。

 画面には可愛らしく微笑む女の子がこちらを見ている写真。

 私は思わず目を逸らした。

「そう。この子と居たね。」

「ったく。しっかり見ろって。」

 呆れたように言われて胸の痛みを感じながら嫌々視線を画面に戻した。

 その子は制服を着ていた。

「女子高生なんだね……。罪作りな男ね。」

「馬鹿だな。んっとに。」

 呆れ果てた声を出されて、いい加減私も苛立って言い返した。

「馬鹿馬鹿、言わないでよ!」

 ひどいことをしてるのはそっちなのに。

 どうして澤口が仲良くしている女子高生の写真を2人で見なきゃいけないわけ?
 可愛いだろ?そうだね。って会話でもしろって言うの?

 本当、どうして私ここにいるんだろう。

< 144 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop