パクチーの王様

 姉は自分が芽以を妻として手に入れたと思っているようだが。

 いや、手に入れたのは、いまいち使えるんだか使えないんだかわからない、忍者もどきなんだが。

 あくまで忍者で、色仕掛けを使ってくるくノ一ですら、ない。

 そんなことを思っていると、お茶を置くとき、案の定、芽以は、立ててあるメニューにお茶を飛ばした。

「ああっ、すみませんっ」
と芽以は、ふきんで拭こうとして、手にしたメニューを見、

「前から思ってたんですけど。
 アヒージョって、女の人の名前みたいですよね」
と言って、笑う。

「……逸人。
 もう一度訊くけど、後悔はない?」
と砂羽が訊いてきた。

 はあ、まあ……たぶん……。

 ……きっと。




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