パクチーの王様
「いや、我ながら、これはいい出来なんですよー。

 うちの母親、収穫に行って、むせかえるような匂いで具合が悪くなったって、帰ってお香の匂い嗅いでましたからねー」

「それは素晴らしい」

 なんだかわからないが、楽しそうだ……。

 ま、それはいいんですが。

 私の前から包丁を退けてください、逸人さん、と思いながら、芽以は身動きできないまま、立っていた。




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