社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「おい、聞いてるのか」

「……はい。聞いております」

 あやふやだった現実が、少しずつ輪郭を帯びていく。社長から【すぐに来い】とスマホにメッセージが入ったところから順番にたどって、路地での出来事がどうやら夢ではないことに気づいた。

 ということは……。

 引き攣った笑顔を浮かべていた社長と憎悪の表情で叫んでいた小柳さんがはっきりと脳裏に浮かび、それから不意打ちのように唇をかすめた感触と甘い言葉を思い出した。

 頬が、燃える。

「いろいろ、キャパオーバーだったんですよ……」

 言い訳のように言って、目線を落とした。

 というか、あんなことをしておいて社長自身は照れる様子もないどころか、いつもと全く変わらず威圧感たっぷりだ。

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