社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 見目麗しい社長の中学の教室風景を想像しながら、思い出されるのは自分の中学時代だった。教室の片隅で孤立していて、ひとりも友達がいなかったあの頃。

 でも、不思議と寂しいと思うことはなかった。目立ってはいけないとばかり考えていたせいだろうか。

「俺は毎日マイナス思考でがんじがらめになってた。消えたいとか、消えればいいとか、学校ごとなくなれとか、そんなことばっかり考えてたよ。街でスカウトされるまでは」

「スカウト?」

 社長はゆっくり目を閉じた。記憶を掘り返しているのか、口調が少しだけスローテンポになってきている。

「少しだけモデルの仕事をしたんだ。そのおかげで、全く別の世界を見ることができた」

 自分がどれだけ小さな世界に閉じこもっていたのかに気づいた。

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