社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 頭が混乱している。一方的にキスをされて、私が悪いような気持ちにさせられて、新庄さんとは付き合っていなかったとか。

「そんなこと、急に言われても」

 だんだんと腹が立ってくる。

「社長はいったい、何が言いたいんですか!」

 身動きができないまま睨み返すと、社長は気が抜けたような顔になった。はあ、とため息をひとつつく。

「……鈍すぎる」

「な――っ」

 ふいにのしかかられたと思ったら、よりいっそう距離が縮まっていた。メガネ越しに、端正な顔がくっきりと映っている。切れ長の目に見下ろされて、胸が激しく高鳴った。

「俺が好きなのは、お前だ。結愛」

 まっすぐな視線に心臓が弾ける。

「好きな女じゃなきゃ、こんなことするわけないだろ」

 そう言って目を伏せると、彼は顔を傾けて私に唇を重ねた。

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