君が夢から覚めるまで
19.溜息
怜はとても可愛い後輩だった。
いつも先輩、先輩とそばえてくる。
そんな怜が愛して止まない自慢の彼女に少し興味はあった。
が、まさかそれが香帆だとは誰が想像出来ただろう…。
3年振りに会う香帆は和馬を見て酷く驚いていた。
当たり前だろう、いるはずのない人間がいるのだから。
香帆は…とても綺麗になっていた。
怜が一目惚れしたのも、自慢したくなるのも分かる気がした。
肝試しの時、香帆が7番のクジを引いたと聞こえた。
和馬はコッソリ7番の男を探し出し、何かと理由を付けて自分のクジと交換してもらった。
それを知らない怜はホッとしたように自分に香帆を託して来た。
何かと理由をつけて久し振りに繋ぐ香帆の手は相変わらず冷たくて、小さかった。
草むらに隠れていた鳥に驚き腰を抜かしてしまった香帆を立ち上がらせるフリをして身体に触れた。
タイミング良く、次の組みが近づいて来たので、それを理由に木陰に隠れて抱き締めた。
どんどん想いが溢れて胸が一杯になる。
絶対失いたくなかったこの温もり…。
ーーー香帆………逢いたかった…。
心の中で呟いた。
バンガローの鍵を開けると和馬を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると隣のバンガローに怜と香帆が。
なぜ、隣の部屋なのか…。
嬉しそうに手を振る怜に曖昧に挨拶して部屋に逃げ込んだ。
香帆が…香帆が怜と同じ部屋に入る所を見たくなかった。
これから…今晩、あの部屋で行われる事を考えるだけでも胸が苦しくなった。
風呂から戻ると、速攻布団に潜り込んだ。
涼葉が何か言っていたが、とても聞く気になれず頭から布団を被った。
今頃香帆は…なにかの弾みで香帆の甘い声が聞こえてきそうなそんな静かな夜だった。
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