君が夢から覚めるまで
23.グランパス号
亮がヘアクリップを届けてくれた二日後、香帆は怜と、怜のサークルのメンバー達と一緒に海水浴に来ていた。
ここの所、お互いバイトが忙しくて、怜と会うのは二週間振りだった。
和馬が来ることは分かっていたが、ひと月も前から約束されては都合をつけないわけにはいかなかった。
「香帆さ〜ん!その膨らましてるの何ですか?」
香帆が鯱のバナナボートを膨らましてると涼葉が寄って来た。
涼葉は溢れんばかりのビキニの胸を大きく揺らし、香帆は目が釘付けになってしまった。
「鯱だよ」
「はあ?どう見てもイルカだろ、それ」
口を挟んで来たのは和馬だった。
「イルカなわけないじゃん、鯱って言ってんじゃん」
「お前、鯱見た事ないんじゃねぇの?」
「あるよ!」
「どこで?」
「名古屋港水族館で!」
「あれはイルカだろ⁉︎」
「イルカも見たけど、鯱も見たじゃん‼︎」
言ってからしまったと思った。
この会話…一緒に見に行ったと言ってるようなものじゃないか…。
「そっか…香帆さんも和馬君と同じ名古屋出身なんだ…」
涼葉は納得したようにポンと手を叩いた。
どうやら同郷同士の会話だと思ってるらしい。
「ま…名古屋人たるもの、イルカよりグランパスだよな…」
ポンポンとグランパス号を叩いて和馬はその場を去った。
危ない、気付かれるとこだった。
「びっくりしたよ。香帆ちゃんが先輩といつの間にそんなに親しくなったのかと思ったら、そっか同郷だったね。そりゃ話も合うよな」
怜も何も疑う事なくウンウンと頷いてるのを見てホッとした。
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