【短編】夜の魔法が解ける、その前に
序章
今年もついに今日、終わりを告げる。
真っ暗な空と対照的に明るい神社を照らすのは
煌々と光るお祭り用の大きな電気。
そして境内には赤い提灯が飾られていて、
提灯の光が門の外にいる家族、カップル、友達同士のウキウキした幸せそうな顔を温かく照らしている。
「何でこんなに並んでんの」
「ばか!初詣だからだって」
「今年は受験だから、合格祈願だね」
そのぬくぬくとした幸せな雰囲気に水を差すかのように、冬の風が足元を通った。
まさか私が、新しい年を目前にして、
突然、
アイツにこんなことを言われるなんて。
「あのさ、今、俺が好きって言ったらどうする?」
こんなことって、
本当にあるんだ。
< 1 / 11 >