いちごキャンディ×ブラックチョコレート
仁科さんには昨日会って以来だ。

あの時はちょうど泣いていて、みっともない格好を見られてしまったわけで。

仕事中だし、ここで動揺を見せるわけにはいかない。

平然を装いながら仁科さんの話を聞いた。


「そういうわけなんですね。ありがとうございます」


どうにか資料の説明をしたことで少しだけ安心する。

やはり彼女は飲み込みが早い。


「いいえ。また何かあったら聞いてください」

「はい!あと、別件で聞きたいことが」


他にもなにか聞きたいことがあるのかと今一度彼女の方を向くと、先程の真面目な表情から一変。

ニヤリとなにか企んでいるかのように微笑んだ。


「な、なに……かな?」


すると彼女はこっそりと耳打ちする。


「昨日、慎さんとの件は解決したんですか?」

「!?」


このタイミングで聞かれるとは思っていなかったため、酷く動揺した。

それこそ机の上にある資料の束を床に落とすくらいには。

多分、周りの人達は私の謎な大きな動きに驚いたであろう。


「に、仁科さん〜。ちょっと一緒に来てもらえるかな?」

「喜んで」


ここでは絶対に話せない。

休憩ということで、このビルにあるフリースペースのラウンジに移動することにした。
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