流星サイダー
あたしはただ、呆然と紙袋を眺める。
いつものあたしなら
特に何も考えずに、壱星の家に行っていたと思う。
だけど今は無理。
とてもじゃないけど、どんな顔して壱星に会ったらいいかわからない。
こんなに近いのに
今はこの距離ですら、遥か遠く感じてしまう。
でも、散々反論した挙句
「壱星くんによろしくね。」
なんて、呑気な事を言うママに追い出されるような形で
あたしは今、壱星の家の前。
「はぁ~…。」
もう、何であたしが…。
思わず漏れた溜め息に、一度大きく深呼吸すると
カサ、と音を立てた紙袋を片手に
インターフォンを鳴らした。
心なしか、指先が震えているのがわかって
「…何緊張してんだ、あたし。」
強張った顔は、「はーい!」と開いた扉に
更に強まったのを感じる。
「あら、流璃ちゃん!」
出て来たのは壱星のおばさん。
笑うとタレ目になる目元が
壱星と瓜二つで、あたしの心に刺さるような痛みが走った。
「あ、あの、これ!」
とにかく早くこの場から去りたくて
挨拶もそこそこに、あたしは紙袋をおばさんに差し出す。