流星サイダー
感情が、溢れ出す。
「…髪の毛、触らせてたじゃん。」
「は?」
口にする程、その感情は形を変えて。
「………か。」
「流璃?」
説明しようのない心の歪みが
あたしの視界を滲ませた。
「サイダーばかって言ったのっ!!!」
怒りに任せて投げ付けた、淡いオレンジのラッピングが
虚しく床に落ちる。
それは顔面に直撃して
「いって!」と眉間にシワを寄せた壱星。
もう、訳わかんない。
「…って、おい!流璃っ!!」
顔を押さえる壱星を睨みつけ、追い掛けてくる声に振り返らず
あたしは廊下を駆け出した。
何なの!?
どうして、あたしは嫉妬なんかしてんの?
相手は壱星だよ?
超意味不明だっつーのっっ!!!
夕焼けが、焦らせるように
あたしを照らし出す。
途中転びそうになりながらも
あたしは走る足を止められなかった。
襲い掛かってくる感情に、追いつかれるのが怖くて。
涙の理由が、わからなくて。
あたしは、ただひたすら
走り続けた。