お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「いや、俺といるのがつまらなかったんだろ」
「え?」
千花は隣から修矢の顔を覗き込んだ。
「修矢さんといるのがつまらない人なんているんですか」
ぶっきらぼうだし愛想もないが、そこがまた修矢の魅力でもある。時折見せられる優しさとのギャップに、千花は心を乱されていた。
「千花は楽しいか?」
「はい、とっても。これも買ってもらっちゃいましたし」
そう言いながらカチューシャを指差す。
「千花は物で釣れるのか」
決してそういうわけではないが。このカチューシャがうれしいのは事実だ。
修矢は軽く鼻を鳴らして笑った。
「千花もここにはよく来たみたいだな」
「そうですね。子供の頃から何度となく」
「……デートってやつでもか」
「東京に住んでいれば、修矢さんが言っていたように定番ですから」