年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
思い出の場所と代え難い存在
「え?小島さん?」


月曜日の朝、出勤して直ぐに望美の部署へ向かうと、営業二課で彼女の隣に座る今井という名の女性社員は、目を丸くしてこう返してきた。


「今日はお休みよ。なんでもインフルエンザに罹ったんだって」

「えっ!?」

「今流行ってるしね、予防接種行くのを忘れてた…と言ってたわ」


今朝連絡が入ったのよ…と言われ、俺は一瞬戸惑いながらも、その場では一応納得をしたが。



(金曜の夜には、そんな気配も見られていなかったのに?)


本当だろうか…と廊下を進みながら思い始める。
どうにも嘘の様な気がしてならず、望美の番号に連絡をしてみるが__。



「…くそっ!」


やはり通話を拒否されている。
ラインを送ったところで多分同じことだろうと思うと、どうやって彼女と連絡を取ればいいんだ…と考えてしまう。



(こっちはようやく片が付きそうなのに)


悔しそうに唇を噛みながら昨夜のことを思い返した。

家を出てホテルの一室を借りた俺は、直ぐに土井社長に連絡し、明日の夜、自分と会ってくれないだろうか…とお願いした。

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