3秒後、きみと恋がはじまる。



「ええ待って…雨じゃん」
「最悪〜!傘持ってないよ」


6時間目の授業が終わって、窓の外を見ると、突然のにわか雨が降っていて。
みんな窓の外を見ながら騒いでいる。


…そういえば私、鞄の中に折り畳み傘が入ってた気がする!

ズボラな自分の性格のおかげで、前に鞄に入れた傘を出すのをずっと忘れていたことを思い出して、鞄の中から折り畳み傘を取り出す。



「今日デートなのにどうしよう…」


ユリがため息をついている。
ユリの彼氏は他校の人で、今日は駅で待ち合わせしてデートの予定だったらしい。

デートなのに、雨に濡れちゃうなんて困るよね…。



「ユリ、傘使っていいよ!」

「いやいや、悪いよ!」

「私、職員室に昨日出し忘れたプリント出しに行かなきゃいけないし、その間にやむかもしれないじゃん!?
デートなのに雨に濡れちゃうなんてダメだよ。
私はあと帰るだけだから大丈夫!」



渋るユリに強引に傘を押し付ける。
白地に黒のドットの傘。


「じゃあ一緒に入ろうよ」

「私、数学のプリントいつになるか分からないから大丈夫!多分すぐ止むよ!」



ユリは申し訳なさそうに、「本当にありがとう。今度何か奢るね!」と言って傘を受け取ってくれた。



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