同期に恋して 〜ずっと片思い〜
そんな時、いつも通りの周りの視線に、涼真が来たのかな……。と私は少しだけ周りを見た。

「やっぱり……」
つい呟いてしまった私に、水田課長は私を優しい瞳でみた。

「どうしたの?近藤さん。なにがやっぱり?」

意外にも拾われてしまっていたその言葉に、私はとりあえず「なんでもありません」とごまかした。

昨日のキスを思い出してしまい、顔が少し熱くなるのを悟られないように、私はグラスの水をグイッと飲んで大きく息を吐いた。

そして女の子の声のする方を見ると、またもや、秘書課や受付の女の子から声を掛けられている涼真と目があう。

ドキッとして、目を逸らそうとしたが、先に涼真に視線をはずされ、私は意味がわからずそのまま涼真の方を見据えた。

涼真はその女の子たちに笑顔を浮かべると、その子たちの席へと行ってしまった。

「高遠くん、相変わらずだね」
苦笑しながら言った水田課長の言葉に、私も曖昧に頷いた。

「同期だっけ?」
水田課長の言葉に美耶子が返事を返す。

「そうです。でもいつもあんな感じで」
表情を歪めた美耶子に、水田課長はクスリと笑った。
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