嘘の続きは
私は徐々に冷静になってきていた。
つい熱くなって文句を言ってしまいキレられてキスというお仕置きをされたらしいことがわかれば私はここは冷静になった方が良いのだ。

「キウイ嫌いをからかわれたので嫌がらせに後輩の口に料理を押し込んだだけですけど」

真島さんがわずかに表情を変えた。

「会社でもよくからかってくる後輩なので対抗しただけです。でも付き合っているかどうかは事務所には関係ありませんよね」

「・・・・・そうだな」

戻ってきた返事はそれだけ。

真島さんはくるりと背を向けてしまった。

何なの、その態度。

この人の勘違いだったのだから謝って欲しいけど、また逆ギレされても面倒かもしれない。

ここはスルーするのがいい

それにこれについて深く考えることは
真島さん+キス=失恋
の図式が出来上がっている私の心身に非常によくない。

「帰ります」

もう食欲もない。戻ったにしても東くんにも松下君にも色々と聞かれることだろうし。それは少々、イヤかなりメンドクサイ。

戻って今夜追及されるのと、明日の朝のラウンジで追及されるのはどちらがいいか考えて、明日の朝を選んだ。


「・・・送る」

振り返ったオトコの顔は呆れるくらいの無表情で。

真紀に迷惑がかかる事態ではなかったことがわかったのなら謝ってくれてもいいんですけどね。
もちろん余分なことは言わないけれど。

「必要ありません」

私も無表情でお返ししてメトロの駅に向かって駆けだした。


頼むからもう構わないで欲しい。
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