嘘の続きは
私は真紀が、真紀は私が何を言いたいのかを正確に理解していた。

「来週の平日の昼間はもう有給申請は無理だから。それと、来週の金曜日の夜は断れない職場の飲み会が入ってるからそこも無理だよ」

うん、うん、わかったとキラキラした瞳で私を見ながら真紀は嬉しそうに笑った。

そんな真紀の顔、決して仕事では見せないごく親しい人だけが知る特別なもの。
子どもっぽくて芸能界にはいる前に見せていた少女時代の姉の顔だ。


私は決意した。

しばらくの間、私は真紀のプライベートタイムの影武者になる。
彼女をマスコミから守るために。


私は就職してからストレスのせいかみるみるうちに痩せはじめ、おまけに周りの先輩たちに刺激されてメイクがうまくなったせいなのか姉に似ていると言われることが増えてきていた。

間近で見たら全然違うけれど、遠目に見たら”雰囲気は秋野真紀”という感じ。

だから多分大丈夫。

マスコミの目くらまし程度ならいけるはず。
たった一人の姉のために私は喜んで協力しよう。
それが例え自分の傷を抉ることになったとしても・・・。



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