秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「でも、それじゃあもったいないよ」

 もったいない?どうして?

 使っていなかった部屋を樹里の遊び部屋になったので、目の前の樹里は夢中で遊んでいる。
今まで家の中で自由に走り回れる場所などなかったし、直樹がプレゼントしてくれた女の子のお人形が住める家もある。

 着せ替えたりゴッコ遊びをしたりして、楽しそうにしているのを見ながら、私は直樹の言葉を聞いていた。

「今から服を買いに行こう。俺が選ぶよ」
「ええっ……? いいよ、そんなの」
「いいから。これからはお金のことも気にしなくていいし、全部俺に頼ってよ」

 そんなつもりで一緒に住むことにしたんじゃないよ。養ってほしいから一緒にいるんじゃないの、と言っても「俺がしたいんだから、そこは譲らない」と言う。

「欲を言えば、籍を入れたいんだけど。今って母子家庭っていう扱いでいろいろと援助する制度とかあるんだろ? そういうのも全部なくしたい」
「直樹……」

 そこまで考えていてくれているんだ、と心が温かくなる。私たちのことを全部まるごと受け止めようとしてくれていることが嬉しい。
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