秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
荷物を置きっぱなしでいなくなっているのでは、と勘繰るが、まさかそんなことはないだろうと思っていた。
しかし、スタッフの女性が更衣室に向かうと、顔色を変えて戻ってきた。

「ロッカーは鍵がかかっているので分かりませんが、小野寺さんがコールされている間、携帯の振動音がしていました」
「本当ですか?」
「はい。もう一度かけてみてください」

 もう一度更衣室に行ったのを見送って、俺はもう一度友里に電話をかける。
するとやはり振動音がしているとのことなので、ロッカーの中に荷物が入ったままになっていることが分かった。

「松岡さん、どこに行ってしまったんでしょう? 何か入居者さまのトラブルに巻き込まれたとか……。心配ですね」
「僕も嫌な予感がします。すみませんが、本社に電話をかけてください。そして僕に変わってもらえませんか? 名前を言えば、上に繋いでもらえると思うので」

 察しのいいスタッフは、俺は小野寺グループの者だと分かっているようで、すぐに対応してくれた。
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