秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
服は着ている、それ以外にもどこか脱がされているような形跡はない。

 部屋の隅にパソコンデスクがあるようで、パソコンの光だけがこの部屋を照らす唯一の光だ。その前に座る男性が見えて、天野さんだと気がつく。


 どれくらいの時間、眠らされていたんだろう?
この暗さは、カーテンで閉め切っているから?
それとも、もう夜?


 樹里のお迎えに行かなければならないし、晩御飯の支度だってしなければならない。

お迎えに行っていないとなると、直樹に連絡がいくだろうから、帰っていない私に気がつき心配しているに違いない。

 どうやってこの場を切り抜けようか考えていると、目を覚ました私に気が付いた天野さんは、くるりと顔をこちらに向けた。

「おはよう、友里」

 パソコンの光で陰になっているから、どんな表情をしているか見えない。だけど、嬉しそうな弾んだ声をしている。そして私のことを呼び捨てにしていることに、恐怖を感じた。

「よく眠っていたね。寝顔もとても可愛かった」

 パソコンデスクの前に置かれたチェアから立ち上がり、ゆっくりと近づいてくる。
何をする気だろうと身構えるも、体が拘束されていて逃げられない。
 
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