隣人はクールな同期でした。
「あ、うん…大丈夫…」


意外と素直…
それとも煌月の言葉が
このコに響いたのか?

『反省してる』って聞いてたのは
確かに本当だったんだ。


「だけどジン君は渡さない。
 彼に手を出したらマジで許さない」


あいかわらず表情変えず
彼女は毒づきながら
エレベーターを先に出ていってしまった。


んー…どうしてだろうか。
本当に反省だったのか疑問が残るんすけど…。


真意はわかんないし
解決された感もほぼゼロ。
和解成立までには
まだ結構な時間が掛かりそうだな…。

そりゃそうか。
こんなんで気持ちが晴れるワケないんだから。


微妙な空気だけ残したままだったけど
アタシも早乙女さんに深くは聞かなかった。
…聞けなかった。


彼女には2つの顔がある。
お母さんを亡くした深い闇と心の傷。

それと
愛する人を奪われたくないという想いの強さ。

どちらも
早乙女さんにしかわからない…。





そしてもう1つ
アタシには別の問題が発生してしまった―――



「結構ひどいねぇ
 最近だいぶ無理させたでしょ」

「…やっぱりわかりますか」


目の前には
心電図と心エコーの検査結果。

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