時には優しく…微笑みを
私たち、結婚します
拓海さんの腕の中で、目が覚めた私は幸せを感じていた。

今、この時間を大事にしたい。
私は、前を向いていくんだ、そう思った。

「…ん、おはよ」

私の身体が動いたのが分かったかのか、拓海さんが起きてしまったようだった。

「おはようございます…ふふ」

「どうした?」

「幸せだなぁって…」

「それは俺もだよ…」




会社に行く用意をしていると、拓海さんが声をかけてきた。

「朋香、今日会社に話するからな?高岡部長と人事部には話するつもりだから」

昨日、話をしていた通りに拓海さんは、会社に結婚する意思を示すと言ってきた。

「大丈夫です。みんなにズルいって言われそうだけど…」

「なんで?」

「だって…」

拓海さんは、自分がモテてるという事に気がついていない。
そんな拓海さんを、1年前に入社した私が結婚なんて話を聞いたら、みんなの態度がどんな風になるのかが、怖い。

そう言うと、

「何も心配する事ないんじゃないか?気にしすぎだろ」

だって。

いや、気にしすぎじゃないかもしれないです。とはさすがに言えなかった。

仕事じゃ、鬼だ、なんだと言われている拓海さんだけど、女の人の気持ちはなかなか分からないらしい…。
そう言う所は天然なのかもしれない。


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